系統用蓄電池事業の始め方|系統接続・収益源・都補助金活用の基本を解説
系統用蓄電池(蓄電所)は、電力系統に直接接続した大規模蓄電池で電気を安く貯めて高く売り、あわせて調整力を電力市場に供出する事業です。再エネの出力変動を吸収する社会インフラとして国・都が導入を後押ししており、東京都は助成率2/3以内・上限20億円(令和8年度予算130億円)、国もSIIの系統用蓄電システム等導入支援(詳細公開待ち)を用意しています。本記事では、参入検討の出発点となる事業の基本構造と、補助金活用・準備の要点を整理します。
系統用蓄電池とは:需要側蓄電池との違い
系統用蓄電池は、工場やビルの構内(需要側)に置く自家消費用の蓄電池と異なり、電力系統に直接接続して電力市場での取引を行う発電所型の設備です。SIIの事業区分の整理では、需要側設置の業務産業用蓄電池(高圧以上・DR活用)や発電所併設型と並び、系統用は「電力系統に直接接続」し「各種電力市場での取引等を通じて余剰再エネの吸収や調整力の供出が可能」なものと位置づけられています。太陽光発電が増えるほど昼間の余剰と夕方の不足の差が大きくなるため、これを吸収する蓄電所の役割は拡大しており、国は616億円規模の電力貯蔵システム支援予算(3事業合計)を措置しています。
収益の基本構造:市場取引と調整力の供出
蓄電所の収益は、安い時間帯に充電し高い時間帯に放電する卸電力市場での裁定取引と、電力の需給バランスを保つための調整力・容量価値の提供(需給調整市場・容量市場等の各種電力市場での取引)の組み合わせで成り立ちます。SIIの事業比較表でも系統用蓄電池の役割は「余剰再エネの吸収や調整力の供出」と整理されており、単一の売電収入ではなく複数市場からの収益を積み上げる設計が前提です。収益性は設置エリアの系統状況・市場価格の変動・運用の巧拙に左右されるため、事業計画では複数シナリオでの収支検証が欠かせません。
使える補助金:都の2/3助成と国のSII支援
現時点で日程が確定している中核支援は、東京都の再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業です。助成率2/3以内・上限20億円で、令和8年度の交付申請は2026年9月1日から9月30日17時必着。対象は都内に登記簿上の本店又は支店を有する法人(一般送配電事業者を除く)で、設置場所は東京電力管内の系統接続であれば都内に限られません。国側は、令和7年度補正のSII系統用蓄電システム等導入支援事業が「詳細が決まり次第公開」の段階です。参考として前年度(令和7年度当初)の同種事業は2025年8月末〜10月末の約2か月公募でした。両制度の関係・併用可否は要領公開後の確認事項ですが、日程の確定している都の公募を軸に準備するのが現実的です。
参入前に確認すべき準備事項
第一に系統接続です。接続先の空き容量・工事費負担金は立地で大きく変わるため、一般送配電事業者への接続検討の申込みと回答の取得が事業化の起点になります。第二に用地です。変電所に近い産業用地等が適地とされ、権利関係と地域調整の整理が必要です。第三に事業計画で、市場収益のシナリオ・運用委託(アグリゲーター等)の体制・資金計画をまとめます。第四に申請体制で、都の助成は約1か月の申請ウィンドウに書類を完備する必要があり、国のSII事業では前年度実績としてjGrants(gBizIDプライム)による電子申請が使われました。gBizIDプライムの取得には時間がかかるため、早めの準備をお勧めします。要件・日程は必ず最新の交付要綱・公募要領でご確認ください。本記事は受給を保証するものではありません。
よくある質問
Q.系統用蓄電池と自家消費用蓄電池は何が違いますか?
自家消費用は自社施設の電気代削減やBCPのために需要側に設置するもの、系統用は電力系統に直接接続して電力市場での取引や調整力供出で収益を上げる発電所型の事業です。適用される補助金も別体系です。
Q.東京都の補助金は都外の蓄電所にも使えますか?
設置場所の要件は東京電力管内の系統接続で、都内限定ではありません。代わりに、申請法人が都内に登記簿上の本店又は支店を有していることが要件です。
Q.何から準備を始めるべきですか?
系統接続の目途(接続検討の申込み)と用地の確保が事業化の起点です。あわせて、都の9月申請ウィンドウに向けた書類準備と、国のSII事業に備えたgBizIDプライムの取得を進めておくことをお勧めします。
Q.個別の案件について相談できますか?
当サイトの無料相談で、補助金活用を含む系統用蓄電池事業の進め方のご相談を受け付けています。診断ドロワーまたは相談フォームからご連絡ください。
出典:クール・ネット東京 系統用大規模蓄電池導入支援事業 ・ SII 系統用蓄電システム等導入支援事業 ・ SII 大規模業務産業用蓄電システム等導入支援事業(事業比較表)
公募要領等の一次情報に基づき作成。最終更新:2026/8/21